多頭飼いをしているとしばしば喧嘩をしてしまうことがありませんか?
何とか止めようとしても、一度始まったものはなかなか止められないものです。
喧嘩の原因には「仲良し関係」「上下関係」「敵対関係」といった猫同士の関係性が大きく関わっています。日ごろは仲良しなのに突然喧嘩が始まったり、日ごろから微妙な関係で良く頭を叩いたり、このような行為も猫の関係性によるものです。
喧嘩を止めるには関係性ごとの喧嘩の原因を理解して、それぞれの関係性に合った対処をすることが大切です。
この記事では猫くらし13年、愛猫3匹の多頭飼い歴6年の経験をもとに、喧嘩の原因から対処法まで実例もはさみながら詳しく解説していきます。喧嘩が起きるメカニズムを理解して、幸せな多頭飼い猫くらしをできるようにしてきましょう。
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多頭飼いでの喧嘩は猫同士の相性しだいだが、ほぼあると思って間違いない
多頭飼いでの喧嘩はほぼあると言っていいです。どんなに仲のいい兄弟、姉妹だとしても兄弟喧嘩はあります。喧嘩とは言えないような内容もあるかもしれませんが、「少し叩き合った」「遊んでいたら興奮して本気になった」なんてこともあります。
実際に我が家でも仲のいい姉妹が、仲良くグルーミングしていたら、なぜかだんだんと猫キックを始めてしまいには「う~~~ッ」っと威嚇を始めてしまったことがあります。
要はどんなに仲良さそうに見えても、内容の大小はあるにしても、多少の喧嘩はあると思って間違いないと言えます。
しかし喧嘩にも種類があり、まったく気にしないでいい喧嘩から、止めないと危ない喧嘩まで様々な種類の喧嘩が存在します。そしてその喧嘩の種類に大きく関与しているのが、「猫同士の関係性」です。
喧嘩の原因は猫同士の3つの関係性が関わっている
猫同士が喧嘩をしてしまう原因は「仲良し関係」「上下関係」「敵対関係」の3つの関係性が大きくかかわっています。どの関係においても喧嘩は起きますが、怪我をする危険度などは違ってきます。
猫の関係性と特徴
- 仲良し関係・・親和行動をする仲
⇒喧嘩による怪我の可能性は低い - 上下関係・・微妙な関係
⇒喧嘩による怪我の可能性はあってもかすり傷 - 敵対関係・・基本近づかない
⇒喧嘩による大怪我の可能性がある
仲良し関係とは親和行動をする間柄のこと
仲良し関係は、その名の通り仲が良く、お互いに親和行動を示すことが多いです。親和行動とは親しい者同士で行う行動のことを言います。この関係性での怪我の可能性は「低い」と言えます。
我が家でよく見る親和行動は、お互いにグルーミングを行ったり、いつも一緒に行動したり一緒に寝たりします。また一方がおもちゃで遊んでいるときは横取りしないで、じっと見守ってたりもします。
もちろん仲良し追っかけっこも、お互いに追っかける側と追いかけられる側が変わりながらやっています。この関係性で起こる喧嘩は遊んでいてエスカレートしてしまうなどがあります。
我が家の猫の親和行動
- グルーミングをお互いに行う
- いつも近くにいる
- 寄り添って寝る
- 遊びを横取りしないで見守る
- お互いに追っかけっこ
上下関係とは微妙な関係、もしくは一方的な関係
上下関係は、一言で言えば微妙な関係です。人間の世界で言えば、できれば会いたくないけど仕事の関係でやむを得ず話をしたり、一緒に行動したりといった関係でしょうか。この関係性での怪我の可能性は「あってもかすり傷」程度と言えます。
我が家で見られる微妙な関係の行動は、ごはんをあげようとすると「私が先!」アピールで他の猫より前に出ようとしたり、目の前を通ると頭をコツンと叩いたりします。
ただし上下関係でも、微妙ではなく一方的な関係の場合の可能性も有るので、よく観察して判断をするようにしてください。
敵対関係は近づいたら喧嘩をしてしまう関係のこと
敵対関係は、基本的には近くによることを許さない関係です。常に一定の距離をとっていて、何らかの理由で近づいてしまったらほぼ間違いなく喧嘩が始まってしまうことでしょう。この関係性での怪我の可能性は「大怪我の可能性あり」と言えます。
敵対関係の喧嘩の見分け方は、喧嘩が始まる前に「毛を逆立てる」、またはいつもは聞かない「唸り声」などを立ててる場合は、敵対関係の猫同士の喧嘩だと判断することができます。
逆に喧嘩の前に唸り声などの前触れがない時は、遊んでいてエスカレートしてしまったか、あるいは微妙な関係で気に入らないことがあったなどが考えられます。
3つの関係性ごとの喧嘩をしてしまう時の対処法
ここでは関係性ごとによって異なる対処法を紹介します。
仲良し関係による喧嘩の対処法
仲良し関係による喧嘩は、それほど危険を伴わないため、見守っているだけでおさまるときが多いです。しかしエスカレートして唸り声をあげたりした時などは、対処が必要になります。
遊びがエスカレートした時などは、それほど夢中になって本気で喧嘩をしていないため「気を引く」ことが有効な対処法となります。おもちゃで誘ってみたり、名前を呼んで近づいてきたら撫でてあげるなど。
猫の好きなこと、気を引けそうなことをして少し注意力をこちらに向けるやり方で対処してみましょう。それでもダメなら自分も一緒に遊んで見るという手も有りです。要は気を引ければOKです。
上下関係による喧嘩の対処法
上下関係による喧嘩は、どちらが上か微妙な関係の場合はそれほど心配はいりません。どちらもお互いに叩き合ったりしているのであれば、一方的な関係ではないので、エスカレートしたら仲良し関係と同様に注意を引くなどが有効です。
少し心配になるのは、いつも決まった側の猫が叩かれたり、追っかけられている場合です。この場合は追っかけている側と、追っかけられている側の双方にストレスが溜まってしまうことがあるので注意が必要です。
対処法としては、追っかけられている側を安全な場所に避難させることが有効です。例えばどこかの扉を開けて、追っかけられている側が入ったら扉を閉めて、距離を取らせるなど。
追っかけられている側と距離ができたら、追っかけている側もしっかりと撫でてやったりして、かわいがるようにしてください。どちら側の猫にもリラックスできる空間を用意することが大切です。
敵対関係による喧嘩の対処法
敵対関係による喧嘩の対処法は、上下関係の比にならないくらい難しくなります。正直、人の手には負えないという場面も出てくるでしょう。下手に手を出すと、飼い主さんが大怪我をしてしまうことさえあります。
しかしどちらの猫も自分が飼っている猫の場合は、放っておくこともできません。そんな時は、物を使って対処するのが一番の安全策になります。
例えば喧嘩をしている猫同士の真ん中に、物を滑り込ませて仕切り代わりにするなどの物理的なやり方や、金属同士の鍋をぶつけたり、いらない物を落としたりして、大きな音を立ててびっくりさせるといった方法が有効です。
大きな音を立ててひるんでいる間に、別の部屋などに入れるなどして距離を置くようにしてください。いずれにしても安易に手を出すことは、危険なので避けるようにしてください。
関係性の見分け方を「実例」をもとに考えてみよう
ここでは我が家での実際に起きた出来事をもとに関係性を推測していきます。3つの関係性の中からどの関係性に該当して、どの対処法が有効なのかを一緒に考えてみましょう。
実際に経験した喧嘩が起きた状況
喧嘩が起きた状況
- ごはんをあげるときのたたき合い
- 大声で鳴いた時に追っかける
- じゃれ合ってて本気になる
喧嘩をしたときは冷静に状況を確認し、その原因を推測することが大切です。何となく「間に割って入ればいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、猫同士の間に入ってさえぎったぐらいでは、火が付いた気持ちは止めることができません。
実際に捕まえて止めようとしたところ、逆に私がかなりの力で噛まれてしまったこともあります。そのため無闇に止めることよりも原因を突き止めて起きないようにすることが大切です。
実例1:ごはんをあげるときのたたき合い
キャットフードの準備を始めると、なぜか後ろでたたき合いが始まることがあります。大喧嘩にはなりませんが、頭を軽くバシバシ叩き合います。まるで「私の方が先!」とでも言っているかのようです。
たたき合いで優劣をつけなくても、もちろん平等にキャットフードは与えているので、食べれないことは決して無いのに、毎日軽くバシバシしています。
実例2:大声で鳴いた時に追っかける
3匹の中で序列が一番下と思われる猫がよく鳴く猫で、たびたび鳴くことがあります。何らかのストレスや要望(ごはんもっとちょうだい!)のときに鳴いたりすると思われるのですが、ちょっと大きめの声で鳴きます。
すると一番の年長さんである猫が、目くじらを立てて近寄っていきます。そして追っかけまわします…。必ず起きるわけではなく、見ていないこともあるので、そんなときに限って、追いかけっこが始まってしまうことがあります。
実例3:じゃれ合ってて本気になる
いつもは仲良くグルーミングしたり、並んで寝っている仲良し同士の猫が、じゃれ合っていたと思ったら突然「う~~~ッ」って威嚇を始めることがあります。
この時は私も完全に油断しているため、ものすごくびっくりすることもあります。頻度はあまり高くはないですが、できればずっと仲良しでいてほしいというのが本音というところです。
ほとんどそのままの気もしますが、どの関係性でしょうか?
我が家の実際に起きた喧嘩の関係性の答え
関係性の答え
- 実例1:ごはんをあげるときのたたき合い
⇒どちらが上か微妙な「上下関係」 - 実例2:大声で鳴いた時に追っかける
⇒一方的な「上下関係」 - 実例3:じゃれ合ってて本気になる
⇒遊びがエスカレートしただけの「仲良し関係」
このような関係性ではないかと私は予測します。皆さんも自分の愛猫の行動をよく観察して、どの関係性に当てはまるかを予測してみてください。
多頭飼い時によくある質問と回答
多頭飼い時の喧嘩のおすすめの対策方法は?
対策は3つのステップで考えると効率的に対策できます。
闇雲に対策をしてしまうと、かえって関係性が悪化してしまうこともあり、しっかりと原因を突き止めることが重要です。原因を突き止めたうえで対策を実施して、復縁をさせる時にも、慌てずにゆっくりと接する回数を増やしていくことが重要です。
先住猫の新入り猫に対する威嚇はどのくらい続くの?
一般的に「平均1~2週間程度」という研究結果があります。
あくまで参考の期間ですが、1~2週間程度だと言われています。猫の関係性や個性によって違うので一概には言えませんが、2週間を超えるようだと猫の性格や行動に問題がある可能性も出てくるので、よく観察して対応する必要があります。
喧嘩で怪我をしてしまった時はどうしたらいいの?
傷口を観察して、ひどい場合は獣医師へ相談してください。
動物病院で診てもらうというのが基本ですが、すぐに見てもらえない場合やすぐに動物病院へ行けない場合は、傷口をよく観察して、自分で何とかできそうであれば、流水などで傷口をきれいにしてください。
オキシドールなどの消毒薬はかえって治りが遅くなることもあるため、使用は控えるようにしてください。ひどい場合はどこの動物病院でもいいので、つながるところに電話で対処法を聞いてください。
じゃれ合いが喧嘩になるのはどうして?対処法は?
「狩猟本能」のスキル磨きと「社会性」を学ぶ場だからです。
猫が本来持っている「狩猟本能」によって、獲物をしとめるときのスキルを無意識に高めようとします。すると、ただじゃれ合っていたつもりがいつの間にか本気になってるということです。
また子猫の場合は猫の世界の上下関係などの「社会性」を学ぶ場として、自然とじゃれ合いや喧嘩をしています。じゃれ合いや喧嘩をしながら学んでいるのです。
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猫のじゃれ合いの意味と喧嘩に発展する理由【DNAに従順である】
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【多頭飼いの喧嘩】原因と対処法のまとめ
内容をまとめるとこうなります。
多頭飼いの喧嘩のポイント
- 多頭飼いに喧嘩はつきものである
- 仲良し、上下、敵対の3つの関係性がある
- 喧嘩の心配度は「(少)仲良し < 上下 < 敵対(大)」
- 普段から近くにいる猫同士は仲良し関係
- 上下関係にも微妙と一方的な関係がある
- 敵対関係の喧嘩は安易に止めに入らない
- 猫をよく観察して関係性を見極めることが大事
猫は自由な生き物で完全には理解できないかもしれませんが、人だって同じことが言えます。皆さんの周りにも理解できない人がいるはずです。
それでも理解しようとすれば、その人なりに考えがあることが分かります。猫も同様です。
猫のことを理解してあげて、そして適切な対処法を行って、快適で幸せな多頭飼い猫くらしをしていきましょう。