カルシウムは、猫にとって必須の栄養素であり、骨や歯の形成・維持に欠かせないミネラルの一つです。また、カルシウムは神経や筋肉の正常な機能にも関与しています。
猫の場合、カルシウムの過剰摂取は、尿路結石のリスクを高めることが知られています。また、カルシウム不足も健康に悪影響を与えるため、適切な量を摂取することが重要です。
この記事ではそんなカルシウムについて簡単に解説しています。
ぜひ最後まで読んでもらって、幸せな猫くらしをできるようにしていきましょう。
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カルシウム-Calcium
カルシウムとは
カルシウムとは体内で重要な役割を果たしているミネラルで、食事などで体内に取り込まれると、大きく2つの用途に分かれて活用されます。
1つ目は、歯や骨の組織。取り込んだ99%が存在していて、残りの1%は筋肉、血液、神経などに存在しています。
カルシウムは、猫にとって重要な栄養素の一つであり、骨や歯の形成、筋肉や神経の正常な機能、血液凝固、ホルモン分泌など、多くの生理的プロセスに関与しています。猫は、成長期や妊娠中に特にカルシウムを必要とします。また、老化による骨粗鬆症の予防や治療にもカルシウムが必要とされます。
猫の食事には、カルシウムが十分に含まれている場合が多いため、カルシウム欠乏症はまれです。一方、カルシウム過剰症も、猫にとって問題となり得ます。過剰なカルシウムの摂取は、腎臓や消化器系の問題を引き起こすことがあります。
カルシウムの摂取量を適切に調整するためには、食事内容の管理が重要です。獣医師が推奨する猫用のキャットフードには、適切な量のカルシウムが含まれているため、通常はカルシウム欠乏症になることはまれです。ただし、成長期や妊娠中の猫には、獣医師が指示する通り、追加のカルシウムの摂取が必要となる場合があります。
また、カルシウムは、ビタミンDとの相乗効果で吸収率が増加するため、ビタミンDの適切な摂取も重要です。ビタミンDは、猫が紫外線を浴びることで自ら生成することができますが、十分な量を摂取できる保証がない場合は、獣医師が指示するサプリメントなどを使用することが必要となります。
カルシウムは、猫にとって重要な栄養素であり、適切な量を含む食事を摂取することが健康維持に不可欠です。カルシウムの欠乏や過剰摂取による健康問題を回避するためには、獣医師の指導に従って食事内容を調整することが重要です。
カルシウムは様々な場所で活躍している
カルシウムの働きは実に様々な用途に対して活躍しています。
- 筋肉の収縮
- 歯や骨を強くする
- 歯や骨を構成している
- 出血時に血を固める
- ホルモンの分泌
- 心臓の収縮作用を増やす
- 筋肉の興奮性を抑える
- 神経の情報伝達
このように、様々な場面で活躍しています。
よく、「イライラした時はカルシウムが不足している」と言われます。
しかし、実はコレ正しくないかもしれません。
食事からのカルシウムが不足すると、骨や歯から体に必要なカルシウムが補充されるので、
血中のカルシウムが不足することは少ないと思われます。
「じゃあ、不足しても大丈夫なの?」
と、思うかもしれませんが、不足しても、取りすぎても、やはり体にとっては良くありません。
カルシウムが過不足のときの影響
カルシウムを取りすぎると、次のような影響が出てきます。
- 元気がなくなる
- 食欲低下
- 神経過敏
- 多飲多尿
- 嘔吐
- 下痢
- 尿路結石
- 腎不全
- 骨がもろくなる
カルシウムが不足すると、次のような影響が出てきます。
- 発達障害(成長期)
- 骨がもろくなる
- 尿路結石
このように取りすぎても、不足しても様々な影響が出てきます。
それでは、なぜそのような影響が出てくるのかを、体の仕組みから解説します。
カルシウムを調整する体の働き
体内には血中カルシウムが不足しないように調整する機能があります。
カルシウムが不足すると、上皮小体(副甲状腺)によってホルモン「PTH(パラソルモン)」が作られます。
PTH(パラソルモン)は骨に貯蔵されているカルシウムを取り出し、血中へと補充する働きをしています。
したがって、食事などによる摂取カルシウムが不足したとしても、骨のカルシウムから補充するので血中カルシウム量は不足することは通常ありません。
しかし、ここで問題なのは、「骨のカルシウムを使用する」という点です。
要は、「骨がもろくなる」ということです。
カルシウムは取りすぎてもよくない
カルシウムは取りすぎても体内に悪影響を与えてしまいます。
血中カルシウム濃度が高くなると、使われなかったカルシウムが尿中へと排出されていきます。
そして、その尿中の中でシュウ酸と結合してシュウ酸カルシウム尿石へとなってしまいます。
そのほかにも成長期などに過剰摂取すると、カルシウムの吸収能力の未発達などにより、骨の成長が停滞したり、変形したりしてしまうことがあります。
いずれにしても、取りすぎも、不足も良くなく、適量を取ることが大切だと言えます。
骨や尿石への影響はカルシウムだけではない
骨や尿石への影響は、カルシウムだけではなく、リンやマグネシウムも深く関係しています。
血中のカルシウムの量に対してリンの量が過剰になると、カルシウムの量を調整しようとしてPTHがたくさん作られます。
※PTHについては上記に記載
すると、骨を溶かしてカルシウムを補充するので骨がもろくなってしまいます。
逆に血中カルシウム量がリンより過剰になってしまうと、余ったカルシウムは尿へと排出されます。
カルシウムは尿へと排出する過程で、尿管内でマグネシウムと結合してしまうとストルバイト尿石となってしまいます。
要は重要なのはカルシウム単独の摂取量ではなく、「リン、マグネシウム、と比較したカルシウム摂取量」が重要だということです。
カルシウム、リン、マグネシウムには理想的なバランスが存在する
カルシウムとリンのバランスは 「 1 : 1 ~ 1.5 : 1 」
カルシウムとリンのバランスは、
「 1 : 1 ~ 1.5 : 1 」
程度と言われています。
要はリンがカルシウムより少なめということです。
カルシウムとリンとマグネシウムのバランスは成長期と成猫で違う
成長期における、カルシウム、リン、マグネシウムの理想的なバランスは一般的に、
「 1 : 0.8 : 0.08 」程度
と言われています。
成猫の、カルシウム、リン、マグネシウムの理想的なバランスは一般的に、
「 1.2 : 1.0 : 0.08 」程度
と言われています。
必ず、ピッタリこの数値というわけではないですが、
要は、「カルシウムの8割程度のリンの量、そのリンの量の10分の一程度のマグネシウムの量」程度が理想と言われているということです。
カルシウムより少し少な目でリン、リンよりかなり少なめでマグネシウムです。
おおよそ、このバランスを保つことで尿石症のリスクを減らすことが出来るといわれています。
カルシウムの最低基準量はAAFCOによって決められている
キャットフードに必要なカルシウムの最低基準量は、
成長期、妊娠・授乳期は「1.0%」
成猫以上の維持期は「0.6%」
となっています。
※AAFCOとはペットフードの成分などの基準を公表しているアメリカの協会