鉄は必須の栄養素の一つであり、ヘモグロビンやミオグロビンの合成に必要不可欠な成分です。これらのタンパク質は、酸素を運搬するために必要なものであり、猫の体内での酸素の運搬に欠かせないものとなっています。
一般的に、猫は普段の食事で十分な鉄を摂取することができます。商業的に製造されたキャットフードは、通常、適切な鉄のバランスを保つために、十分な量の鉄が含まれています。ただし、自家製の食事を与える場合は、必要な栄養素が含まれているかを確認することが重要です。
この記事ではそんな鉄について簡単に解説しています。
ぜひ最後まで読んでもらって、幸せな猫くらしをできるようにしていきましょう。
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鉄-Iron
鉄とは
鉄は、猫にとって必要不可欠な栄養素であり、ヘモグロビンの合成や酸素の運搬に重要な役割を持っています。また、鉄は酵素の構成成分としても重要であり、代謝に関与する酵素の多くに必要です。
猫が鉄欠乏症になると、ヘモグロビンの合成に影響を与え、貧血や全身の倦怠感、免疫力低下などの症状が現れることがあります。一方、鉄過剰症は、猫にとっても問題となり得ます。過剰な鉄の摂取は、鉄貯蔵病、腎臓障害、心臓病、肝臓病などの健康問題を引き起こすことがあります。
猫には、肉食性の生物であるため、自然界においては鉄を豊富に摂取することができます。しかし、家庭環境下では、鉄が十分に含まれる食品を与えることが重要です。獣医師が推奨する猫用のキャットフードには、必要な量の鉄が含まれているため、バランスの良い食事を与えることができます。
ただし、鉄欠乏症や鉄過剰症を疑った場合には、獣医師の指示に従って食事内容を調整する必要があります。特に、人間の食品を与える場合には、鉄の含有量に注意が必要です。また、鉄過剰症を引き起こす可能性がある鉄のサプリメントを猫に与えることは、獣医師の指示がある場合を除いて避けるべきです。
鉄は、猫にとって必要不可欠な栄養素の一つであり、適切な量を含む食事を与えることで、猫の健康維持に貢献することができます。しかし、鉄欠乏症や鉄過剰症が引き起こされる可能性があるため、獣医師の指示に従って食事内容を調整することが重要です。
鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」がある
鉄には肉類などの動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と、野菜や海藻類の植物性食品や卵・乳製品に多く含まれる「非ヘム鉄」があります。
ヘム鉄と非ヘム鉄は吸収率に大きな違いがある
ヘム鉄と非ヘム鉄には体内での吸収率に差があります。
ヘム鉄はタンパク質のポルフィリンに囲まれているため、吸収の阻害をする食物繊維やタンニンからの阻害を受けにくく、吸収されやすくなっています。
非ヘム鉄は三価鉄となっているため吸収されやすい二価鉄の状態に還元されてから十二指腸にて吸収されます。
還元するにもDcyt1という還元酵素が必要となり、吸収されるまでに時間がかかります。
また、非ヘム鉄は食物繊維やタンニンからの阻害を受けやすく、これらの理由によって吸収率に大きな違いが出ています。
吸収率を上下させる因子
非ヘム鉄の吸収率を上げるためにはDcyt1という還元酵素が必要であると上記で説明をしました。
実はその他にも吸収率を上げる方法があります。
それは、タンパク質、アミノ酸、アスコルビン酸(ビタミンC)を同時にとることによって、非ヘム鉄の吸収をよくすることが出来ます。
逆に反栄養素であるタンニン、フィチン酸、シュウ酸は吸収率を下げてしまいます。
自作フードはシュウ酸の取りすぎに注意
シュウ酸はホウレンソウなどに多く含まれています。
シュウ酸を取りすぎると、シュウ酸カルシウム結石となってしまう他、鉄の吸収率を下げてしまう働きもあります。
自作フードなどを与える際には、注意が必要になります。
鉄の過不足のときの影響
鉄が不足のときの影響
鉄が不足のときには次のような症状が考えられます。
- 貧血
- 運動機能の低下
- 認知機能の低下
- 食欲不振
- ふらつき
- 下痢
- 粘膜蒼白
鉄が過剰のときの影響
- 下痢
- 嘔吐
- 亜鉛などの欠乏
鉄は吸収されるときに、亜鉛や銅などと競合してしまうため、鉄が過剰になると亜鉛や銅などの吸収が阻害され、欠乏してしまう可能性があります。
鉄の最低摂取基準量
鉄の最低摂取基準はAAFCOにて定められています。
鉄の最低摂取基準量は、
成長期、成猫共に、80mg/kg以上
となっています。
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