マグネシウムは、猫にとって必須の栄養素の一つであり、骨や歯、筋肉、神経系の健康を維持するのに重要な役割を果たします。また、マグネシウムは、エネルギー代謝やタンパク質の合成、酵素の活性化にも必要不可欠なミネラルの一つです。
ただし、マグネシウムの過剰摂取は、猫に対して健康被害を引き起こす可能性があります。例えば、マグネシウムの過剰摂取によって尿路結石ができやすくなり、尿路系のトラブルを引き起こすことがあります。
この記事ではそんなマグネシウムについて簡単に解説しています。
ぜひ最後まで読んでもらって、幸せな猫くらしをできるようにしていきましょう。
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マグネシウム-Magnesium
マグネシウムとは
マグネシウムは、猫にとって必要不可欠な栄養素であり、神経や筋肉の正常な機能を維持するために必要です。マグネシウムは、細胞内液に豊富に含まれており、神経や筋肉の興奮や収縮を調整する役割を持っています。また、マグネシウムは、酵素反応に関与する酵素の補因子としても重要な役割を持っています。
猫がマグネシウム不足になると、筋肉の痙攣や不随意運動、低カルシウム血症、尿路結石の発生などの症状が現れることがあります。一方、マグネシウム過剰症は、猫にとっても問題となり得ます。過剰なマグネシウムの摂取は、腎臓結石の発生、腎臓障害、心臓病、血液中のカルシウム濃度低下などの症状を引き起こすことがあります。
猫が適切な量のマグネシウムを摂取するためには、バランスの良い食事を与えることが重要です。獣医師が推奨する猫用のキャットフードには、必要な量のマグネシウムが含まれているため、通常はマグネシウム不足になることはまれです。ただし、猫に人間用の食品を与える場合には、マグネシウムの含有量に注意する必要があります。
特に、尿路結石を患っている猫には、マグネシウムの制限が必要な場合があります。尿路結石を予防するためには、マグネシウムやリン酸などの成分を制限した食事を与えることが推奨されています。また、獣医師が指示する専用の食事を与えることで、猫の健康を維持することができます。
マグネシウムは、猫にとって必要不可欠な栄養素の一つであり、適切な量を含む食事を与えることで、猫の健康維持に貢献することができます。しかし、マグネシウム不足や過剰症を引き起こす可能性があるため、獣医師の指示に従って食事内容を調整することが重要です。
特に、尿路結石を患っている猫には、獣医師が指示する食事内容を厳密に守ることが重要です。また、猫が健康な場合でも、食事のバランスを考慮し、適切なマグネシウムの含有量を摂取できるようにすることが重要です。
猫が摂取するマグネシウムの量は、食事だけでなく、飲み水からも摂取されるため、飲み水の品質にも注意する必要があります。硬度の高い水や、含有量が高い水を飲ませることで、マグネシウムの過剰摂取が起こる可能性があります。そのため、猫に与える水の品質についても獣医師に相談することが重要です。
マグネシウムは、猫の健康維持に欠かせない栄養素であり、猫の食事内容に注意を払い、適切な量を摂取することが重要です。マグネシウムの含有量を適切に調整することで、猫の健康維持に貢献することができます。
体内でのマグネシウム吸収率は変化している!?
猫のキャットフードにおけるマグネシウムの吸収のしかたは、取り込んだマグネシウムの量によって変わるとされています。
取り込んだ量が多いと小腸の腸管内のマグネシウム濃度が高くなります。
すると、吸収のしかたは流れに身を任せる「受動輸送」となります。
取り込んだ量が少ないと、小腸の腸管内のマグネシウム濃度が低くなります。
すると、吸収のしかたは積極タイプの「能動輸送」となります。
受動輸送-Passive Transportとは?
受動輸送とは、高い濃度の液体方面から、低い濃度の液体方面へ浸透現象によって移動することを言います。
自然に移動するのでエネルギーは必要としません。
今回の場合で言えば、腸管内の濃度が高く、腸管外(体内側)のマグネシウム濃度が低いので、何もしなくても自然と移動して、吸収されていきます。
能動輸送-Active Transportとは?
能動輸送とは、自ら積極的に動いて、濃度の低いほうから高いほうへ移動させることを言います。
濃度の差が高⇒低には自然と移動しますが、取り込んだ量が少ないと、腸管内の濃度が低く浸透現象は起きません。
そこで、エネルギーを使って濃度の低いほうから高いほうへと輸送することを言います。
マグネシウムの吸収率は25~75%の間で変動している
取り込んだ量が多いと25%、少ないと75%の吸収率だといわれています(受動輸送と能動輸送)。
通常の量であれば30~50%程度の吸収力であるとされています。
マグネシウムが過不足のときの影響
不足のときの影響
- 神経過敏
- しびれ
- けいれん
- 食欲低下
- 不整脈
- 臓器の石灰化
- 血圧の低下
過剰のときの影響
過剰のときの影響はストルバイト結石のリスクが高くなる点です。
ストルバイト結石とは、マグネシウム、アンモニア、リン酸からなる結石で、尿がアルカリ性になると生成されやすい性質があります。
尿路結石の予防にはカルシウム、リン、マグネシウムのバランスが大事
成長期における、カルシウム、リン、マグネシウムの理想的なバランスは一般的に、
「 1 : 0.8 : 0.08 」程度
と言われています。
成猫の、カルシウム、リン、マグネシウムの理想的なバランスは一般的に、
「 1.2 : 1.0 : 0.08 」程度
と言われています。
尿石の生成にはカルシウムやリンといったミネラルも影響しているため、バランスよく摂取することが予防につながります。
マグネシウムの最低基準量はAAFCOによって決められている
キャットフードに必要なマグネシウムの最低基準量は、
成長期、妊娠・授乳期は「0.08%」
成猫以上の維持期は「0.04%」
となっています。
※AAFCOとはペットフードの成分などの基準を公表しているアメリカの協会