ナトリウムは、猫にとって必要な栄養素の一つであり、体液や細胞外液のバランスを保ち、神経や筋肉の正常な機能に関与します。ただし、過剰なナトリウム摂取は、猫に健康被害を引き起こす可能性があります。
例えば、高ナトリウムの食事を摂取すると、猫は多量の水分を摂取する必要があるため、尿量が増加し、腎臓や心臓に負担がかかる可能性があります。また、高ナトリウムの食事を摂取することにより、尿路結石のリスクが高まることが知られています。
この記事ではそんなナトリウムについて簡単に解説しています。
ぜひ最後まで読んでもらって、幸せな猫くらしをできるようにしていきましょう。
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ナトリウム-Sodium
ナトリウムとは
ナトリウムは細胞外から、細胞内のナトリウムと共に浸透圧の調整を行っていて、約50%は細胞外液として存在し、40%は骨格として存在しています。残りは細胞内液として、微量存在しています。
ナトリウムは、猫にとって必要不可欠な電解質の一つであり、神経や筋肉の正常な機能を維持するために必要です。ナトリウムは、細胞内液や細胞外液に豊富に含まれており、神経や筋肉の興奮や収縮を調整する役割を持っています。また、ナトリウムは、体内の水分バランスを維持するためにも重要な役割を持っています。
猫の食事には、ナトリウムが十分に含まれているため、ナトリウム欠乏症はまれです。一方、ナトリウム過剰症は、猫にとっても問題となり得ます。高塩分の食事や、人間の食品を与えることで、猫が過剰にナトリウムを摂取することがあります。過剰なナトリウムの摂取は、高血圧や心臓病、腎臓病などの健康問題を引き起こす可能性があります。
猫には、適切な量のナトリウムを含む食事を与えることが重要です。獣医師が推奨する猫用のキャットフードには、必要な量のナトリウムが含まれているため、通常はナトリウム欠乏症になることはまれです。ただし、猫に人間用の食品を与える場合には、ナトリウムの含有量に注意する必要があります。
猫が適切な量のナトリウムを摂取するためには、食事内容の管理に加えて、水の量にも注意する必要があります。水分不足は、ナトリウムの過剰摂取につながる可能性があるため、猫には常に新鮮な水を与えることが重要です。
猫が健康的な状態を維持するためには、ナトリウムの適切な量を含む食事を与えることが必要です。適切なナトリウムの摂取量を確保するためには、獣医師の指導に従って食事内容を調整し、適切な水分補給を行うことが重要です。
ナトリウムと塩分は違う
ナトリウム=塩分だと思っている方が結構いるのではないでしょうか。
正確に言うと、ナトリウムは食塩の一部です。
食塩(NaCl) = ナトリウム(Na) + 塩素(Cl)
食塩はナトリウムと塩素によって出来ていて、その割合も決まった割合で存在しています。
その割合は、ナトリウム(Na) : 塩素(Cl) = 22.99 :35.45 となっています。
ここでは、おおよその数値として 23 : 35.5 としています。
決まった割合で存在しているということは、食塩、ナトリウム、塩素のどれか一つの重さが分かれば、それぞれの重さも算出することが出来るということです。
ナトリウムから塩分を割り出す計算式
ナトリウム量 (mg) × 2.54 ÷ 1000 = 食塩相当量 (g)
この計算式が食塩相当量を算出する式になります。
計算が面倒な方は、下記に自動計算フォームがあります↓
計算式解説
・食塩=塩化ナトリウム
・塩化ナトリウム(NaCl)=ナトリウム(Na)+塩素(Cl)
・ナトリウム原子1つに対して塩素原子1つ
・ナトリウム : 塩素 = 23 : 35.5
例 ナトリウム23gの場合塩素は35.5g
食塩 = ナトリウム+塩素 = 23g + 35.5g = 58.5g
食塩とナトリウムの差 = 58.5g ÷ 23g = 2.54
・ナトリウムから食塩量を出すには2.54倍すればよい。
・÷1000というのはmgの単位をgに直すためである。
ナトリウムの表記はナトリウム量が1000mg未満の場合はmgで表記するように決められている(健康増進法)。
そのため基本的には÷1000を行ってgに変換する。
※健康増進法は人間?に対してだと思われるのでキャットフード等は、どちらでもよい?
※ナトリウム量が1000mg以上の場合はg表記も可能。
食塩相当量算出の具体例 1
例 ナトリウム量 100g中 0.5% 表記の場合
その① ナトリウム量をmgで算出する
100gの1%は1gなので、0.5%は、1%の半分、したがって0.5g
1g=100mgなので、0.5gに100をかけると500となり、500mgとなる。
その② ナトリウム量(mg)を上記の計算式に当てはめて計算する
500mg × 2.54 ÷ 1000 = 1.27g
食塩相当量 = 1.27g
食塩相当量算出の具体例 2 (現物)
100kcalあたりの食塩相当量の算出の場合
ナトリウム量 = 0.11g / 100kcal
・計算式に当てはめる
0,11g × 2.54 = 0.28g
食塩相当量 = 0.28g / 100kcal
100gあたりの食塩相当量の算出の場合
ナトリウム量 = 0.11g / 100kcal
①372kcal / 100g
372kcal ÷ 100kcal = 3.72
0.11g / 100kcal × 3.72 = 0.41g / 372kcal
①より 0.41g / 372kcal = 0.41g / 100g
食塩相当量 = 0.41g / 100g
食塩相当量、自動計算フォーム
使い方 mg(ミリグラムの)ナトリウム量を空欄に入れます。
食塩相当量 自動計算フォーム
ナトリウムの摂取量と過不足の影響
ナトリウムが不足のときの影響
ナトリウムが不足することはあまりないですが、不足した時は、次のような症状が出ることがあります
- 吐き気
- 元気がない
- けいれん
- 意識障害
ナトリウムが過剰のときの影響
ナトリウムの過剰摂取による影響は今のところあまり報告されていません。
もちろん、基準以上の過度の高塩分食はダメですが、通常の範囲内ならそれほど問題はないようです。
ただし、腎臓病や心臓病などの病気を抱えている場合は悪化する可能性があるため、注意してください。
心臓病や腎臓病のときの注意点
ナトリウムを多く摂取してしまうと、血中のナトリウム濃度が高くなります。するとナトリウム濃度を下げようとして、細胞内の水分が血管内へ出てきます。そのため血管内の血流が増え、心臓の負担が増えてしまいます。
心臓病を抱えている場合は、注意が必要です。
腎臓病の場合は、高い血中ナトリウム濃度を下げようと、腎臓によって尿へ排出されていきます。そのため腎臓の負担が増えてしまいます。
特に高齢猫においては、腎臓病のリスクも高まるため、注意が必要です。
ナトリウムの摂取量の基準
ナトリウムの最低摂取基準はAAFCOにて定められています。
ナトリウムの最低摂取基準量は、
成長期、成猫共に、0.2%以上
となっています。
NRC(全米研究評議会)のガイドラインによると、
ナトリウム量 1.5g / 400kcal
で安全性が確認されています。