亜鉛は、猫にとって必要な微量栄養素の一つであり、酵素の構成成分として重要な役割を持っています。また、免疫系の正常な機能や皮膚や被毛の健康維持にも関与しています。
亜鉛欠乏症は、猫にはまれですが、その症状には、皮膚病、被毛の異常、発育不良、貧血、免疫不全などが含まれます。一方、亜鉛過剰症は、猫にとっても問題となり得ます。過剰な亜鉛の摂取は、鉄の吸収を妨げ、消化器系、神経系、肝臓などに損傷を引き起こすことがあります。
この記事ではそんな亜鉛について簡単に解説しています。
ぜひ最後まで読んでもらって、幸せな猫くらしをできるようにしていきましょう。
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亜鉛-Zinc
亜鉛とは
猫において、亜鉛は多くの酵素の構成成分として重要な役割を持っています。
例えば、亜鉛はDNA合成やRNA合成、タンパク質合成に関与しており、これらのプロセスにおいて欠かすことのできない微量栄養素とされています。また、亜鉛は免疫系にも重要な役割を果たしており、猫の免疫機能を維持するために必要な栄養素の一つとなっています。
さらに、亜鉛は皮膚や被毛の健康維持にも関与しており、欠乏症の場合には被毛の質や光沢が低下することが知られています。
亜鉛欠乏症は、猫にはまれですが、その症状には、皮膚病、被毛の異常、発育不良、貧血、免疫不全、味覚障害などが含まれます。一方、亜鉛過剰症は、猫にとっても問題となり得ます。
過剰な亜鉛の摂取は、鉄の吸収を妨げることが知られており、これによって貧血を引き起こすことがあります。また、亜鉛過剰症には、消化器系、神経系、肝臓などに損傷を引き起こすことがあるため、適正な量の亜鉛を摂取することが重要です。
商業的に製造されたキャットフードには、猫に必要な栄養素がバランス良く含まれているため、適正な量の亜鉛が含まれています。ただし、自家製の食事を与える場合は、亜鉛の量が十分であることを確認することが重要です。
亜鉛の働き
亜鉛は体内で数百種の酵素に含まれています。そのため多種多様な場面で活躍していて、細胞の分裂や、タンパク質の代謝などに活用されています。
また、味覚を作る細胞にもかかわっているため、フードの味を感じる重要な役割を果たしています。
血液中ではビタミンAの運搬の役割も果たしています。
吸収促進にはクエン酸とビタミンC
亜鉛の吸収を促進するには、クエン酸とビタミンCの摂取が欠かせません。
クエン酸やビタミンCは亜鉛の吸収を促進する働きを持っています。
そのため亜鉛を摂取するときにはクエン酸やビタミンCとの同時摂取が、より亜鉛の吸収を良くしてくれます。
亜鉛の吸収を阻害するもの
亜鉛の吸収を阻害するものには次のようなものがあります。
- フィチン酸
- シュウ酸
- 食物繊維
- 銅
- 鉄
- カルシウム
- リン
亜鉛を吸収を阻害するものの中には、同じミネラルである、銅や鉄、カルシウムやリンなどが存在します。
したがって、どのミネラルにおいても過剰摂取することは、不足することを招いてしまうことがあるため、バランスよく摂取することが望ましいです。
食物繊維の吸収阻害について
食物繊維のカルボキシメチルセルロース(CMC)の影響による亜鉛の吸収阻害があると報告されています。
そのほかにも、食物繊維は亜鉛などと結びつきやすいといわれています。
そのため、食物繊維と一緒に体外へ排出されてしまうため、過剰な食物繊維の摂取には注意が必要です。
亜鉛が過不足のときの影響
亜鉛が不足のときの影響
亜鉛が不足のときの影響は次のようなものがあります。
- 傷の治癒遅延
- 口内炎
- 味覚異常
- 皮膚炎
- 成長力低下
- 脱毛
- ビタミンA欠乏
亜鉛はコラーゲンを生成する酵素の働きを活性化する働きを持っています。
コラーゲンは皮膚に関する役割を担っているため不足すると、皮膚炎などの異常が見られることがあります。
亜鉛が過剰のときの影響
亜鉛が過剰のときの影響は次のようなものがあります。
- 発熱
- 嘔吐
- 下痢
- 鉄の欠乏
- 銅の欠乏
亜鉛の過剰摂取は他のミネラルの鉄、銅などと吸収時に競合してしまうため、バランスのいい摂取が大切になります。
亜鉛の最低摂取基準量
亜鉛の最低摂取基準はAAFCOにて定められています。
亜鉛の最低摂取基準量は、
成長期、成猫共に、75mg/kg以上
となっています。